英文契約書を形にする3ステップ
海外取引の契約書作成は、単に「英語にする」作業ではありません。
自社の利益を守りつつ、相手方との合意点(落としどころ)を見つける「調整」のプロセスで、難易度の高いミッションです。
では、具体的にどのような手順で進めれば、漏れがなく、かつスムーズに契約を形にできるのでしょうか。
実務の現場で意識すべき「3つのステップ」を整理しました。
Step 1:まずは「守りたい利益」を整理する
契約書を書く前に、今回の取引で「これだけは譲れない」というポイントを明確にします。
例えば輸出入(売買契約)の場合:
- 輸出者(売り手): 「代金を確実に、遅延なく回収したい」
- 輸入者(買い手): 「一定の品質基準を満たした商品を、スケジュール通りに出荷してほしい」
こうしたお互いの要望を「書面」に落とし込み、認識のズレをなくすのが契約書の役割です。
まずは箇条書きからで構いませんので、自社にとっての優先順位を整理しましょう。
このステップを丁寧に行っておくことで、その後の交渉もスムーズに進むでしょう。
Step 2:ひな形・テンプレートをベースに「塩梅」を調整する
真っ白の紙に一から条文を作るのは効率的ではありません。
信頼できるひな形やテンプレートを活用するのが近道です。
ただし、「これさえあれば完璧」というひな形やテンプレートは存在しないということも覚えておいてください。
ビジネスはケースバイケースであり、相手との関係性や業界の慣習によって、調整が必要だからです。
例えば次のような事柄によって、最適な契約書は変わってくるでしょう。
- 締結先との付き合いの長さ・関係性
- パワーバランス
- 取引が単発なのか、継続なのか
- 業界の常識・慣習
- リスク・金額の大きさ
例えば、ひな形が準拠法が日本法になっていたからという理由だけで「日本法で」と提案しても、海外側から「公平を期して第三国のシンガポール法にしよう」と押し返されることもあります。
こうしたひとつひとつの交渉を通して、今後の関係性に影響が出ることもあります。
契約書は文書に起こすだけの業務ではなく、「塩梅」を見ながら交渉・調整することが大切です。
そしてこれが、契約書作成実務の難しいところです。
Step 3:例外ルールのチェック
契約は「自由」が基本ですが、法律や条約によって「自分たちで決めたルールよりも優先される制限」が存在します。
特に海外の取引先は、日本の法律に詳しいわけではありません。
例えば、製品安全4法における委託契約書。
海外の事業者が日本の消費者へ直接販売する場合、委託契約を結ぶことが法律で義務付けられています。
委託契約に盛り込む内容は製品安全4法で定められていますが、海外側がその詳細を把握していることは稀です。
「知らなかった」では済まされない穴がないか、担当者が丁寧にレビューすることも大切です。
不安なときは、次のような手を取ることもひとつの選択肢です。
- 関連法令に詳しい専門家にレビューをお願いする
- 関連法令に対応済みのひな形・テンプレートを活用する
まとめ:効率的な作成のために
契約書作成は、まず「型」に当てはめ、そこから微調整していくのが最もスムーズだということがお分かりいただいたかと思います。
まずは譲れないポイントを整理し、たたき台を作る。そのうえで「強行法規」や「公序良俗」などの例外ルールを網羅しているかレビューします。
当サイトで提供しているテンプレートは、基本的な内容を盛り込みつつ、後の調整がしやすい構成にしています。
「たたき台」を作る時間を短縮することで、その分締結先との肝心な「交渉」や「調整」に時間を割いてください。
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